アレルギー科とは

アレルギー科とは

体内に侵入しようとする病原体等の異物を排除する仕組みのことを「免疫」といいます。この免疫が何らかの原因によって正常に機能せず、くしゃみ、鼻水・鼻づまり、目の充血やかゆみ、喘鳴や呼吸が苦しくなる(ぜんそく)などの症状として現れている状態をアレルギー反応と呼んでいます。

診察時に何らかのアレルギー疾患が疑われるのであれば、血液検査などを行うなどして、アレルゲン(アレルギーとなる原因物質)を調べる検査を行っていきます。原因が特定された場合、できるだけそれを避ける環境づくりに努めていきます。

お子さまに以下の症状がみられるのであれば、一度当院をご受診ください。

  • 鼻水、くしゃみが止まることなく続いている
  • 目に充血がみられたり、涙が出る
  • 咳や呼吸困難の症状がみられる
  • 皮膚にかゆみや湿疹がある
  • 腹痛や下痢が起こりやすい など

当診療科で扱う代表的なアレルギー疾患

気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギー、アナフィラキシー など

食物アレルギー

食物アレルギーとは

食物アレルギーは、食物などのアレルゲンが侵入することで症状が引き起こされる状態のこととされ、年齢に関係なく起きるとされていますが、乳幼児でみられるケースが約30%です。またアレルゲンとなる食物は、年齢によって変化していきます。

例えば、乳幼児では、鶏卵、牛乳、小麦等がアレルゲンとなることが大半とされ、学童期(小学校)に入る頃からは、甲殻類(エビ、カニ 等)、魚卵、果物(もも、リンゴ、バナナ、キウイ等)、ナッツ類(ピーナッツ、カシューナッツ、クルミ等)、小麦などによって発症するようになります。
症状として、じんましん、血管浮腫といった皮膚症状が最もみられます。他には喘鳴、呼吸困難といった呼吸器症状や腹痛、嘔吐、下痢、目が充血、頭痛、鼻水・鼻づまり、血圧低下・意識障害(アナフィラキシーショック)などがあります。
治療は該当する食物アレルゲンの除去が基本になりますが、食物の除去は最小限にとどめる必要があります。食物アレルギーを疑うようなエピソードなどあれば当クリニックにご相談ください。
重症例やアナフィラキシー例では、アドレナリン自己注射薬(エピペンR)による治療を要します。こちらに関する処方、説明も行わせていただきますのでご相談ください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

強いかゆみを伴う湿疹が、慢性的もしくは反復している状態がアトピー性皮膚炎です。生後半年までの乳児で上記の症状が2ヵ月以上、生後半年以降であれば6ヵ月以上続いているとなれば、同疾患であると診断されます。これまでは、成長するにしたがって改善していくとされてきましたが、今では成人になっても症状が続くという患者さまも少なくないです。

発症の原因については完全に特定されていませんが、元々アレルギー体質であること、乾燥や摩擦等によって皮膚のバリア機能が低下していること等によって起きるのではないかと考えられています。

主な症状ですが、年齢によって発症する部位や症状は変化していきます。例えば、乳児期は頭部や顔面を中心として、赤く湿り気のある湿疹がみられるようになります。そのほか、胸、腹部、背中、肘や膝の内側に曲げる部分でも現れます。1歳を過ぎる頃には、湿疹がみられる箇所は、首の周囲、肘や膝の裏側などで起きるようになります。また湿疹部位は黒ずんでいき、カサカサと乾燥していきます。

治療について

薬物療法として、これまでステロイドの外用薬が中心でしたが、非ステロイドの免疫抑制薬の外用薬も増え、治療の選択肢が広がってきています。また、かゆみの症状がある場合は、抗ヒスタミン薬の内服なども用います。お困りのことがあれば当院へ相談ください。
このほかスキンケア対策も重要で、保湿剤を使う、常に皮膚を清潔にする、衣服との摩擦などの刺激を減らす、など努めていくことも大切です。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)があります。従来の内服薬や点鼻薬は症状を軽減しますが、根本的なアレルギーの改善には至りません。アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)では、根本的なアレルギーの体質改善を目指します。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)では、アレルゲンを含む錠剤を舌の下で1分間保持し、その後飲み込むことを行います。この治療法は、スギ花粉症やダニ・ハウスダストアレルギーに有効です。初回の服用はクリニックで医師の指導のもと行い、2回目以降は自宅で服用します。毎日の服用を続けることで、徐々にアレルギー反応に慣れていき症状が緩和されることが期待されます。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)の治療には時間がかかります。効果が表れるのに最低数ヶ月から1年かかり、3年~5年の継続的な治療が推奨されています。長期にわたり正しく治療が行われると、約8割の方でアレルギー症状を治したり、緩和する効果が期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の服用軽減が期待できます。

長所・短所

長所
  • 自宅での治療が可能です
  • アレルギー薬が不要になる場合があります
  • 治療終了後も継続的に効果の持続が期待されます
短所
  • 3~5年以上の長期治療、毎日の服用が必要です
  • 治療効果があらわれない場合もあります(約20%)
  • 服用前後2時間は、激しい運動、入浴を控える必要があります
  • 現状ではスギ花粉、ダニ・ハウスダストアレルギーの方のみ対象となります

当院は、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)の登録施設に認定されています。登録医師である院長が対応致しますので、気になる方はご相談ください。