スキンケアとは
皮膚を清潔(入浴、シャワー、洗浄、清拭 等)に保つ、保湿する(保湿剤で乾燥を防ぐ)、保護することを指します。
赤ちゃんやお子さまの皮膚というのは、成長途上ということもあって角質層が薄くなっており、その厚さは成人と比較すると半分程度となっています。
また1~10歳頃の間は皮脂の分泌量が極端に少ないことから、皮脂で角質層を覆うということが難しいです。そのため皮膚バリア機能は未熟で、外からの刺激を受けやすく、様々な皮膚疾患が起きやすいということがあります。さらにバリア機能が十分でないことは水分を保持することも難しいので、肌が乾燥しやすいということもあります。
一見すると、お子さまの肌というのは、弾力に富んで、みずみずしいのでうらやましいと感じられる方も多いかと思いますが、先にも述べたように刺激を受けやすく、乾燥肌にもなりやすいので、成人以上にスキンケアが欠かせません。そのケア方法について聞きたいことがあるという場合も遠慮なくご相談ください。
なお、小児によく見受けられる皮膚疾患は、以下の通りです。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎あせも
あせもとは
正式には汗疹と呼ばれる皮膚疾患です。汗腺(エクリン汗腺)に垢などの汚れが詰まり、汗腺の出口が閉鎖されることで、白もしくは赤くなったブツブツがみられている状態を言います。汗が溜まりやすいとされる、頭髪の生え際、おでこ、首のまわり、腋の下、肘や膝の裏等に発生します。
主な症状ですが、白っぽいブツブツの場合は、これといった症状は現れません。ただ感染で炎症が起きるようになると赤い発疹となって、かゆみもみられるようになります。このかゆみに耐えきれず、かき壊すようになるととびひ等、症状を悪化させることもあります。
治療について
治療に関してですが、まずは皮膚を清潔に保つことが大切です。そのためには、汗をこまめに拭く、シャワーなどで洗い流す等を行います。また通気性や吸収性の良い衣服を着るようにします。炎症の状態がひどくなっている場合は、ステロイド系の外用薬を使用します。軽度の皮膚症状では、非ステロイド系の外用薬となります。なお細菌感染もみられる場合は、抗菌薬を服用することもあります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは
生まれて間もない乳児と思春期に発症しやすいとされる皮膚疾患です。乳児の場合は、生後2~4週間後に発症するとされ、頭やおでこなど皮脂の分泌量が多いとされる部位に黄色っぽいかさぶたが現れるようになります。かさぶたについては、やがてポロポロと落ちるようになります。
治療について
先にも述べましたが、乳児で起きた場合は何もしなくても皮膚症状は治まるようになります。ただ何らかの症状がある、アトピー性皮膚炎の可能性があるという場合は、弱いステロイド系の外用薬を使用することもあります。
水いぼ
水いぼとは
伝染性軟属腫ウイルスに感染することで、光沢感のあるツヤツヤしたいぼのようなもの(形は円形、サイズは1~10㎜程度)がみられるようになります。これを一般的には水いぼ(伝染性軟属腫)と言います。その真ん中はくぼみもみられます。アトピー性皮膚炎に併発しやすく、夏の季節に流行しやすいという特徴があります。
主な症状ですが、痛みやかゆみなどは、ほぼみられません。なお水いぼを潰すと白っぽい粥状の内容物が出ます。これが付いた手や指で別の部位に触れると、どんどん水いぼが広がりをみせるようになります。
治療について
放置をしたとしても早ければ半年以上の経過で免疫がついて自然と治癒するようになります。ただ多くの場合、感染が広がるので除去による治療を行います。この場合、特殊なピンセットで患部をつまんで内容物を圧出する方法があります。上記以外には、液体窒素を患部に当てて凍結させる治療、漢方薬(ヨクイニン)の内服などを行うこともあります。
とびひ
とびひとは
とびひの正式名称は伝染性膿痂疹と呼ばれるもので、さらに同疾患は、年配の方から幼児まで世代に関係なく発症し、かさぶたの発生が中心の痂疲性膿痂疹、小児に起きやすく水疱の形成が中心の水疱性膿痂疹に分けられます。ここでは、お子さまが発症しやすいとされる後者(水疱性膿痂疹)について説明いたします。
水疱性膿痂疹は、アトピー性皮膚炎をはじめ、あせもや虫刺され等の皮膚疾患のかき壊しの傷、すり傷等の外傷によって、傷口からブドウ球菌が入り込んで感染します。夏の季節にみられることが多いです。
主な症状ですが、かゆみの症状が強いとされる透明の水疱が顔や手足などの部位に発生します。かゆさに耐えきれずにかき壊して水疱が潰れると菌が飛び散るなどして、別の部位に広がり全身に発症がみられるようになります。その様子は、火の粉が飛び移って瞬く間に火事が広がるようなことから一般的には「とびひ」と呼ばれるようになりました。
治療について
抗菌薬の服用(ペニシリン系、セフェム系など)、軟膏を患部に塗布するなどしていきます。またかゆみの症状が強く現れるようであれば、抗ヒスタミン薬も使用していきます。また常に皮膚が清潔になるように努めることが肝要です。