お子さんの頭の歪みを
心配されている親御さんへ

お子さんの頭の歪みを心配されている親御さんへ

赤ちゃんの頭のかたち、「寝ぐせのせいかな?」「そのうち自然に治るかも…」と一人で悩まれていませんか?
頭のかたち外来では赤ちゃんの自然な成長の力を利用して、健やかな頭の形をサポートします。
治療方法は、理学療法とヘルメット治療の2つになります。
理学療法は具体的には体位変換とタミータイム(腹ばい運動)を行います。これらの治療は特に生後4ヶ月までのお子さんに効果が高いとされます。
それでも頭のあたちの歪みが大きいお子さんには、お子さんの頭のかたちに合わせたヘルメットを作成する「ヘルメット治療」が適応となるケースがあります。ここではヘルメット治療について説明したいと思います。

お子さんの頭の歪みを心配されている親御さんへ お子さんの頭の歪みを心配されている親御さんへ

知っておきたい
ヘルメット治療の仕組み

ヘルメット治療とはどんな治療で、なぜ頭の形が変わるのか。治療の基本的な仕組みと、日本で使えるヘルメットの種類を整理します。

ヘルメット治療の仕組み

頭に強い圧はかけない仕組み

ヘルメット治療について最初に知っておいていただきたいのは、頭に強い圧をかけて無理に形を変える治療ではないということです。
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の形の自然な成長力を利用して形を整えていく方法です。
頭の平らになってしまった部分に空間をつくり、赤ちゃん自らの頭の成長を原動力として、平らな部分に成長を促すことで治療効果が得られます。頭の出っ張った部分に圧力をかけて矯正するものではありません。
生後数か月の赤ちゃんの頭蓋骨はまだ柔らかく、成長のスピードも非常に速い時期です。その成長エネルギーをヘルメットによって方向付けることが治療の本質です。

我が子もやるべき?
ヘルメット治療の必要性

すべての頭のゆがみがヘルメット治療の対象になるわけではありません。適応条件と治療開始の目安となる月齢を確認しておきましょう。

ヘルメット治療が適応になる3つの条件

ヘルメット治療はすべての頭のゆがみに対して適用されるわけではありません。
赤ちゃんの頭のゆがみには大きく2種類あります。一つは、向き癖や出産時の圧迫などによる外力での変形(位置的頭蓋変形症)。
もう一つは、頭蓋骨縫合早期癒合症などの骨の病気による変形です。ヘルメット治療の対象となるのは前者、外力による変形です。

ヘルメット治療が適応になる3つの条件

ヘルメット治療は次の3つの条件を満たしている場合に、医師の判断のもとで適用されます

  • 外力によって生じた変形であること
  • 頭のゆがみが中等度以上であること
  • 頭の成長が活発な時期(おおむね生後3~6か月頃)であること

自分の子どもが該当するかどうかは、視診・触診・3Dスキャンを組み合わせた医師の評価が必要です。写真を見ただけで判断することは難しく、かかりつけ医や頭の形外来への相談が出発点になります。

治療開始に最適な時期:生後3~6か月が目安とされています。
この時期は頭の成長スピードが最も速く、ヘルメットの効果も出やすい時期です。生後6か月を過ぎると頭の成長が緩やかになるため、改善のペースも緩やかになる傾向があります。

治療の流れ

ステップ1:外来へ受診
まずは当院へ気軽にご相談ください。
ゆがみの原因が病的か外力かを診断します。病的な疑いがある場合は、専門病院で精密検査を行う必要があります。
外力が原因の場合は、視診・触診・問診・各種計測などで頭のゆがみの度合いを確認し、ヘルメット治療の適応かどうかを判断します。当院では3D撮影を用いて客観的な数値化を行います。
ステップ2:治療の実施を決定
ヘルメット治療の適応となる場合は、治療の詳しい説明が行われます。
ゆがみがあるからといって、ヘルメット治療を必ず受けなければならないわけではありません。治療するかどうかは、保護者の自由意志によって決定します。
ステップ3:3D撮影とヘルメットの作成
ヘルメットを作成するために、頭部形状を測定する3D撮影を行います。ベビーバンドの場合は、約1~1.5週間後から着用を開始できます。
ステップ4:ヘルメットの装着(治療開始)
医療機関にてヘルメットを装着し、使用方法や注意点の説明を受けます。ヘルメットは、入浴や休憩時間以外の1日23時間程度を目標に装着します。
治療開始の月齢や重症度、治療の進み具合によって異なりますが、2~6か月間装着します。
ステップ5:経過観察と卒業
治療開始後は約1か月ごとに医療機関へ通院し、治療効果や肌トラブルの有無を医師が確認します。ベビーバンドでは、平均して3~4か月程度で治療終了となります。

来院されるママパパの傾向

複数のクリニックで共通して見られるのは、「気になってはいたが、悩んでいるうちに受診が遅れた」という来院パターンです。
「自然に治るかもしれない」「治療が本当に必要かどうかわからない」という迷いから、なかなか相談に踏み出せずにいる保護者の方が多い傾向があります。
治療があることは知っていたけれど、どうしようかと考えているうちに治療可能な月齢が過ぎてしまうことがあります。自然に治るかもしれないという考えに引っ張られてしまうことが多いようです。

ヘルメット治療の
デメリット・危険性

メリットだけではなく、装着中に生じやすい問題や、長期的影響について、あらかじめ把握しておくことも大切です。

装着中に起こりうること

医師の指示のもと適切に治療していれば大きな危険性はありません。強い締め付けを行う治療ではないため、頭の成長が疎外されることや脳への圧迫の影響はありません。
ただし、装着を続ける中で以下のような問題が起こることがあります。

肌荒れ・汗疹

ヘルメットを長時間装着していると、肌への刺激や汗による肌荒れ・汗疹が生じることがあります。適度にヘルメットを外して肌の状態を確認し、赤みが出た際には医師の指示のもと対応することで、特に大きな問題にはなりません。

ヘルメットのずれ

頭の形状によってはヘルメットがずれやすいケースがあります。フィット感を調整するために補助パッドを使用して微調整を行うことで対応します。
成長とともにフィットしやすくなることが多いため、最初のうちは多少のズレが生じてもあわてず医療機関に相談してください。

ヘルメット治療は
本当に効果がある?

「ヘルメット治療は意味がない」「自然に治ると聞いた」という声もよく耳にします。
確かに、軽度のゆがみであれば成長とともに自然に改善するケースもあります。ただ、中等度から重度のゆがみについては、医師による評価と適切な治療が必要になることがあります。

効果と安全性については、国内の複数医療機関による臨床研究で確認されています。
2023年から2024年にかけて行われた国内多施設研究では、中等度から最重度の斜頭症がある正期産児224名を対象に、ヘルメット治療前後の頭の形状を3Dスキャンで計測し、頭蓋非対称性指標(CVAI)をもとに効果を評価しました。

主な結果は以下のとおりです。

  • すべての重症度群でゆがみの改善を確認(最重度で約9%、重症で約7%、中等症で約4%改善)
  • 生後7か月未満で治療を開始したほうが改善が大きいが、7か月以降に開始した場合も約4%の改善が確認された
  • 治療による頭囲(頭の大きさ)の成長抑制は認められなかった
  • 皮膚の赤みが見られたのは2.2%で、いずれも適切な対応で改善した

この研究は国際学術誌「Journal of Clinical Medicine」(2024年10月)に掲載されており、効果の有無だけでなく、頭の成長への影響がないことも確認されています。
「本当に効果があるのか」という疑問に対しては、国内の実臨床データが一つの答えを示しています。ただし、すべての赤ちゃんに効果が出るわけではなく、適応条件や開始時期によって結果は異なります。